少し前の話になりますが、2月に「第20回 エコノミクス甲子園」の全国大会に審査員として参加してきました。
エコノミクス甲子園は、高校生を対象とした金融・経済教育イベントです。とはいえ、単なる知識勝負ではありません。地方大会を勝ち抜いた高校生たちが集まり、金融・経済をテーマに、クイズのほか、プレゼンテーションやビジネス提案にも取り組みます。
私は、全国大会のビジネスラウンド(英語コース)で審査員を担当しました。運用業界の友人に誘われ、ボランティアで関わらせてもらった、という流れです。
この大会が良いなと思ったのは、いわゆる「クイズ王」を決める大会ではない、ということ。もちろん知識は問われます。ただ、単純に「お金を殖やすための教育」を目的としているわけでもありません。
全体を通して、「金融や経済を通じて、自分の人生や社会をどう考えるか」という視点が一貫していました。特に、与えられたテーマについて議論し、プレゼンテーションを行うビジネスケースラウンドには、その雰囲気がよく表れていました。
さて、気になる今年のテーマは、「令和の米騒動」に関するもの。
実はこのテーマ、審査員も会場に行くまで内容を知らされません。会場で補足資料を渡され、そこで初めて概要を把握する仕組みです。(題材を考えるのは、過去にエコノミクス甲子園に参加した大学生ボランティアなのだそうです。)
「いやいや…これを英語でって…どういうこと?」と思いながら、プレゼンテーション会場へ移動するわずかな時間で頭を整理し、審査基準にも目を通します。個人的には、敢えて英語コースを選ぶ時点で加点したいぐらいでしたが、もちろん審査は審査です。
実際のビジネスケースラウンドはかなり緊張感のあるもので、高校生たちは限られた時間の中で議論をまとめ、投影資料を作成し、英語でプレゼンテーションを行い、さらに審査員からの質問にも答えていました。生成AIの利用もOKなので、高校生たちはAIを使いこなしながら、自分たちの考えを英語で組み立て、きちんと人前で伝えていきます。その姿を見ていると、「最近の高校生はすごい」というより、もう単純にたくましいな、と思わされました。
翌日のクイズ大会に向けて、前夜祭も開かれました。名前こそ「前夜祭」ですが、実際にはかなり本気の懇親会です。審査員や運営スタッフ、高校生たちが一緒になってアクティビティに参加するのですが、驚くほどすぐに打ち解けていきます。むしろ、都道府県大会を勝ち抜いてきた高校生たちのコミュニケーション力に、大人の方が助けられていたのかもしれません。
チームを作る際に声を掛けてくれた山形県代表の女子高校生2人に、「泊まりがけの全国大会、どう?」と聞いてみると、「全国の高校生と一緒に過ごせて、めちゃくちゃ楽しいです!」と、こちらまで嬉しくなるような笑顔で返されました。
会場だった国立オリンピック記念青少年総合センターを後にすると、2月にしては妙に暖かい夜でした。「令和の米騒動」だの物価高だの、経済の話題はどこか息苦しいものが増えています。でも、少し浮き足立った高校生たちの声を背中に聞きながら歩く帰り道は、不思議と清々しく感じました。ああいう高校生たちを前にすると、「評価する側」も、ちゃんと更新され続けなければいけないのだろうな、と思わされます。もしまた来年も呼んでいただけるなら、せめて今年の自分よりは成長していたいところです。